履歴変換と学習履歴でテンポよく文章執筆ができる。サブスクではない日本語入力ソフト『かわせみ4』

 Macの日本語入力ソフトといえば、MacOS付属の入力ソフトの他に、GoogleのGoogle日本語、ジャストシステムのATOKが有名です。

 Macを使っている大部分の方は、上記3つのうちどれかを使っていると思いますが、今回はもう一つ4つ目の選択として『かわせみ』をご提案します。

 『かわせみ』はディープなMacマニア、「Macintosh」時代からの古参ユーザーの方はご存じかもしれませんが、旧MacOSの日本語入力プログラムの『 EZ BRIDGE』が元になっています。

 履歴学習、履歴変換で高速に文章を執筆できる特徴があり、ATOKと同様の漢字や記号などの検索などが充実しているMacの日本語入力ソフトです。

 この『かわせみ3』は2023年11月にアップデートされ『かわせみ4』になりました。記事自体は『かわせみ3』の時に書かれていますが、『かわせみ4』リリース後に追加機能、改善部分を含めた形でリライトし直しています。

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かわせみ3とは?

 「かわせみ」はMacの日本語入力としては古くからあるにもかかわらず、あまり動画サイトやブログなどで紹介されることはないのでご存知の方は少ないと思います。変換効率・専門用語変換・OS、ハード間で辞書共有ができる「ATOK」や、無料で変換効率が高くネット上の流行後が反映される「Google日本語」、そこそこ使える状態のMacOSに付属する入力システム。比較的、安価な定価とはいえライバルソフトが強力なため、紹介される機会はあまりないと思います。

 まだMacが「Macintosh」だった時代、ハードの性能やメモリ容量の制限などスペックが低かった時代には、ATOKやOS付属の「ことえり」などよりも軽く高速で動く『 EZ BRIDGE』はそれなりにアドバンテージはあったのですが、ある程度ハードの性能が向上した現在ではそのアドバンテージもあまりなくなっています。(予測変換や漢字変換時の表示は他の日本語入力ソフトよりは早いと思います)

「Macintosh」だった当時『 EZ BRIDGE』はインライン入力(別窓を表示しないで文章中で変換ができる)ができる唯一の入力ソフトでした。文字数制限のなかで文章を書くことが多いプログラマーやライター関係の人が使っていたイメージがあります。インライン入力は文字数制限がある中で、きっちり文字数を合わせるのが楽だったからだと思います。いまでは普通のある機能ですね。

 

 とはいえ、他の日本語入力ソフトウェアと比べて劣っているかといえば、そんなことはなく使えば使うほど、確定履歴などから入力効率が上がって手になじんでくる感じがあります。また読み方のわからない漢字、記号の検索・などの機能が豊富です。(ヘンから探す方法と手書きから探す方法があります。)

 「かわせみ4」は開発・販売元の物書堂ストアから3,300円(シングルライセンス)で購入可能です。「かわせみ1〜3」までのユーザーは2,200円でアップデート可能です。

https://www.monokakido.jp/ja/mac/kawasemi3/

かわせみ3→4へのアップデート内容

 『かわせみ4』変更点、アップデートの内容は以下の通りです。

  • 最新の「MacOS14Sonoma」に対応。次のMacOS(14以降)のアップデートまで保証されている。
  • 新機能:全候補表示、アルファベットの読みから英字列への変換、英語候補の非表示(On・Off)、候補ウインドウのアピアランスの設定を追加
  • 改善:トリガーに「2点リーダー」と「3点リーダー」を追加、入力に数字を指定できるように変更

 

各日本語入力ソフトウェアの違い

ここでは、各日本語入ソフトウェアの違いを比べます。

MacOS日本語 Google日本語 ATOK かわせみ3
定価 無料
(OSに付属)
無料 7,920円※※
(1年サブスク)
3,300円※※※
(シングル・買取)
OS MacOS Windows
MacOSなど
Windows
MacOS
android
iOS
MacOS
ユーザー辞書共有 Macのみ○ × Macのみ○
和英変換※ ×
※和英変換は日本語→英語に変換する機能ですが、日本語→英語、和製英語→英語、日本語(名詞)→英語(名詞)などソフトウェアによって違う場合があります。たとえば「Google日本語」、「ATOK」は、ソフトウェア名などの日本語、英語両方表記がある場合はほぼ変換可能です。※※価格はプレミア版で辞書などが付属のもの。機種関係なく10台までインストールが可能 
※※※他にファミリーパックがあります。3台までインストール可能のものは6,600円

各日本語入力ソフトウェアの使ってみた個人的感想

MacOS日本語以前の付属の入力システムはあまりいい印象がなかったために、使用感みたいなものは経験上一番低いのです。最初は変換したい漢字が結構後の方に、表示される感じがありますが使っているうちに、優先的に入力しやすい位置に上がってくると思います。ライブ変換機能もありますが入力するリズムが自分には少し合わない感じですね。

Google日本語 Googleが無料で配布している日本語入力ソフトウェアです。多分標準の日本語入力ソフトウェア以外を入れるとなったらGoogleのが一番多いんではないでしょうか?。ユーザー辞書以外の辞書は追加できませんが、変換効率が高く和英も問題なく変換できます。ユーザー辞書の共有は出来ませんが(もしかしたらGoogleアカウントで共有はしているかもしれない)基本的な機能はそろっています。読めない漢字や簡体字、記号など検索することは出来ません。(webで検索すれば問題ないですけどね)

ATOK ATOKは古くからある老舗の日本語入力ソフトウェアです。文章の内容から変換すべき文字の表示などの高機能エンジン、追加の辞書の豊富さ、いろいろなハード(OS)で対応など他の入力アプリケーションの追従を許しません(笑)。ほぼ毎年大型バージョンアップで機能が追加されています。専門分野の追加辞書や、ユーザーが配布している辞書も多数あり、日本語入力ソフトウェアでは最強なのではないかと思います。

 ATOKは以前までは、一太郎に付属、単体でパッケージで購入、サブスクなどの購入が可能でしたが、現在はサブスクのみでの購入になっています。年額も高額な部類で、特に一般的な使い方であればGoogle日本語でも問題ないような気がします。(実際私はGoogle日本語に乗り換えました)医学や科学、など専門分野で使うにはいいのではないかと思います。ハード、OS問わず10台までインストール可能で、ユーザー辞書は専用のサーバーで共有可能で至れり尽くせり。長文からの変換もなんなく問題なく正確に変換できます。

かわせみ3 今回この記事で紹介している日本語入力ソフトウェアです。有料ですがATOKのサブスク半分以下の価格で、買い取りつまり3,300円(1台)で課金することなく使い続けられます。今後MacOSのバージョンアップで非対応になったり、サポート終了で新しいバージョンを再購入の必要があるかもしれませんが、現時点では新たに購入する必要はありませんMac版のみ対応で、Macが複数ある場合はiCloudをつかってユーザー辞書を共有することが出来ます。(ただしMac1台につき1つ購入する必要あり)

 使った感じ予測変換がかなり強力で、一度変換した単語などは2〜3文字程度(設定可能)入力で表示されます。このため入力時に打つキーの回数が減り、入力自体が早くなったような気がします。予測変換を使いこなすと打ち損じで誤変換の回数も減ります。「かわせみ3」で一番気に入っているのが、この「入力→変換→確定」までのリズムです。

 ただ予測変換が強力である以上、インストールして使い始めのほうは記録している単語数が少ないため「Google日本語」「ATOK」と比べて、変換効率が悪い感じがします。

 あくまでスペック上の違いであって入力感はそれぞれ使う人によって違いがあります。有料のものはそれぞれ試用期間があるので試して違いを確認してみてください。

「確定履歴」と「自動辞書登録」を育てる

 かわせみは入力して確定したものを「確定履歴」(250個上限)をのこして、使用した単語を自動的に自動辞書として登録します。これによって過去の履歴と、近々に入力したものを予測変換を優先的に表示されます。この予測変換を使いこなすと、文章自体を高速入力可能です。間違った単語を確定してしまった場合は「確定履歴」から削除できます。これで変換時の予測変換に間違った単語が表示されることはなくなります。

 一度入力確定したものなら、2〜3文字程度(設定可能)で予測変換の候補が表示されます。「かわせみ」は使えば使うほど賢く便利になっていきます。他の日本語入力ソフトウェアでも同じ機能はあると思いますが、「かわせみ」はこの機能が特に高いような感じがします。予測変換は「環境設定」で、文字入力した数で表示するかか設定できます。

 予測変換は、入力時に表示され「shift+リターン」で確定します。他に候補があれば「tabキー」で選択し確定。その他の場合は通常通り「スペースキー」で変換します。

 予測変換を使い入力すれば、早くテンポよく入力することができます。しかし「各日本語入力ソフトウェアの違い」でも触れていますが、インストール直後など使い始めは確定履歴がないので、特に確定履歴を使った予測変換の恩恵はありません。特に試用期間中は「他の日本語入力プログラムと同じじゃね?」感はあるのですが、しばらく使っていると、テンポがいい文章入力が出来るようになってきます。

 使い始めは少ない文字数で変換するような感じで、確定履歴と自動辞書登録を育てていけば、多少の長文でもきっちり変換できるようになります。

「読み方がわからない文字」、「変換できない文字」の検索

 印刷物や画像になっていて読み方のわからない文字や変換できない(変換候補に出てこない)文字は「文字パレット」で探すことが出来ます。

 漢字は画数・部首・手書きで検索できます。漢字のパーツを構成している部首で検索する方法が一番シンプルですね。漢字の形がわかっている場合は複合検索で画数・部首を組み合わせて検索します。

 手書きで検索は、マウスで実際に漢字、記号を書いて検索します。文字、記号をすべて書かなくても、一致したものが絞り込まれていくので、簡単に見つかると思います。日本では使われていない読み方のわからない、漢字でもこれで見つけることができます。

 日本語で使われていない漢字(簡体字や旧字、中国のみで使われている漢字など)も検索できますが、テキストエディタやワードなどで対応しているフォントが選択されている必要があります。

記号等の入力

 丸数字、記号、学術記号などは「分類」からが便利です。ただし記号等は外字扱いになる場合があるので機種やフォントの種類によっては表示できなかったりバケたりすることがあります。

複合検索画数、部首、読みの複数の方法で検索できます。

手書きマウスで漢字を描いて、条件にあった文字を検索します。

部首部首で検索します。部首は画数がわかれば見つけやすくなります。選択した部首が使われている漢字を検索します。

分類記号やシンボルなどを検索・入力します。

  記号やシンボル、漢字(旧字)などはフォントに依存または機種依存のものがあり表示されないものがあります。

環境設定の仕方

 環境設定は「かわせみ3」をより使いやすいように変更します。ここでは基本的なものだけ軽く設定の解説をします。インストール時、デフォルトのまま使ってもあまり問題があるあることはないのですが、使っていて気になるときや、使い勝手をよくしたい場合は変更してみてください。

環境設定

設定は入力ソフト選択から「かわせみ3」を選択して、「設定ツール」を選択します。

入力

入力方法 「ローマ字入力」か「かな入力」を選択しましす。「かな入力」は日本語キーボードの刻印されている「ひらがな」のキーで入力します。

コード入力/変換 「Unicode」か「ShiftJIS」を選択します。今は「ShiftJIS」は旧MacOSでしか使われてないので、「Unicode」で設定しておけば問題ないです。

句読点 「。、」を入力する場合「,.」に変更できます。「,.」は主に理数系の文書等に使われることがあります。

¥キー入力 「¥」キーで入力した場合「¥」を表示するか「\」を表示するか設定します。日本語配列キーボードの場合は「¥」が印字されていますが、US配列の場合「\」が印字されているので、「¥」「\」を押下した場合どちらが入力されるか設定します。

全角半角

スペース入力、英字入力、数字入力 全角モードで英数字を半角・全角に入力するか設定します。通常は全角の場合は英数字は同じ全角で入力されますが、全角モードでも英数字またはスペースを半角入力したい場合は設定します。

テンキー入力 テンキーを使った場合に入力される数字を常に半角にするか全角にするか設定します。

ローマ字・操作

ローマ字入力に関してルールの設定をします。インストール時に「ローマ字ルール」として「ATOKタイプ」、「MSーIMEタイプ」など設定出来ますが、変更する場合はここで変更します。

自動英字変換

全角モード(日本語で入力)している場合に、文中に英単語を入力し変換する場合の設定をします。たとえば「www.」を全角モードで入力した場合、「元のモードを継続して入力する」だと「っっw。」に変換されますが「英字を継続して入力する」を選んだ場合は「www.」になります。追加は辞書で英数字をを登録しておきます。

かな漢字変換

かなから漢字に変換する場合の挙動と処理を設定します。人によって変換するタイミング(スペースを押して変換するタイミング)が違うので、デフォルトの状態でも問題なく変換する場合が多いのですが、「なんか使いにくい」感じがする場合はこの辺の設定を変えると使いやすくなります。

辞書

基本辞書の設定と追加辞書の設定を行ないます。ここは特に特殊な文章を書く場合で泣ければ、そのままデフォルトの状態でいいと思います。

日付

たとえば「きょう」「あした」などで変換し、日付を入力した場合の形式を有効にします。

候補

候補は変換時の候補の表示や挙動を設定します。

制限

変換の制限を設定します。通常は「制限なし」で設定されています。たとえば小学4年生以降に覚える漢字を制限したり、人名に使える漢字のみ変換されるようにします。使える漢字の制限がある場合の文章を書く場合に設定します。

確定履歴

一度変換した単語を記録していますが、保存方法・場所(ファイル、メモリ)の設定。とスマート変換(予測変換)の入力文字数の設定・表示の設定を行ないます。表示開始文字数は「確定履歴」から何文字入力した場合に表示するかの設定にです。デフォルトは「2」。この場合は2文字入力した時点で一致するものを、確定履歴に保存されている文書を表示します。

間違った語句で変換してしまって、何度も項目に間違った語句が表示される場合は、確定履歴を消去すると元に戻ります。

表示

表示関する設定です。

入力モードの表示 半角・全角切り換え時にモニター上に変更されたモードを表示します。

iCloud

ユーザー辞書や設定ファイルを格納する場所をセットアップします。別の場所に再設定する場合以外は使わないです。

更新

かわせみ3を更新します。自動になっていれば特に使用することはないでしょう。

個人・共有ユーザー辞書

ユーザ辞書は基本ほかの入力ソフトと同じです。ユーザ辞書はよく使う語句などを登録しておくことによって、たとえば住所や人名、マクロやスクリプトなどを登録しておけば優先的に変換項目に表示されます。

単語登録は「単語登録/削除」から登録します。「よみ」「単語」を登録することによってよみを入力後、登録した単語が項目に表示されます。

「個人ユーザー辞書」は「辞書管理ツール」から開けます。「個人ユーザー辞書」は単語登録と同様単語登録や登録削除が可能。

また入力によって自動登録された語句や、学習情報も編集が可能です。一度間違って変換してしまい自動登録されてしまった語句を正しく変更したり削除もできます。

変換時の区切りや変換される語句の変換がうまくいかない場合

使っているうちに、辞書登録しているにもかかわらず、変換される区切りや別の語句がいつも通り変換できなくなることがあります。

主に変換間違えで、変換の設定を変えてしまい区切りが変わったことで、前回の変換履歴が変わったことによることが多いです。

この場合は一度、変換経歴を消去して自動登録語で間違っている登録を削除、もしくは変更します。区切りがおかしいときは学習情報で区切り位置を修正します。

上記を行うことで、元の状態に戻ります。

まとめ

 Macの日本語入力ソフト「かわせみ3」をご紹介しました。Macで日本語入力でいうと、MacOS付属の日本語、Google日本語、ATOK、かわせみ3の4種類でしょうか。

 文章を書く場合の癖にもよりますが、漢字や単語に関しての変換に関しては特に、使用上は問題はないですね。「かわせみ3」に関しては導入当初は、変換文章が長文だと文節や変換する漢字等が思い通りにないことはしばしばありますが、短文で変換を繰り返すことによって、変換履歴や学習によって精度の高いものになります。

 漢字、記号などの検索はMacOS付属、Google日本語にはありません。(リストから選択できますが検索して漢字などを見つける機能はありません)ATOKとかわせみ3は部首や手書きによる検索が出来ます。特に日本以外の漢字圏の人名を入力するときや、地名などや学術記号などを多く入力する方であれば便利に使えると思います。

 金額でいうとMacOS付属の日本語、Google日本語は無料。ATOKはサブスクで年7,920円(プレミア)、かわせみ3は買い取りで3,300円(1ライセンス)です。有料で比べるとMac、Windows、android、iPhone、iPadなどOS、ハード含めATOKは10台までインストール可能(登録ユーザー)です。かわせみ3は1台につき1ライセンスなので台数分購入が必要です。(ファミーパックの場合は3台まで6,600円)またかわせみ3はMacのみの対応です。

 ATOK、かわせみ3は両方とも、クラウド上にユーザー辞書や設定を保存でき、複数で共有可能です。

 無料である元々付属されているもの、Google日本語無料であっても問題なく使えます。有料のATOKやかわせみ3は、文章を機能や漢字検索、履歴、学習機能 がプラスされた感じでしょうか。ブログや書類作成など文章を書く仕事、趣味などにおすすめです。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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